2005年03月17日

打ち切り番組:土曜インタビュー2005にっぽん

 数少ない良質な番組だけに、打ち切られるのは非常に惜しく、やるせない。

 1年前の4月3日、三宅民夫アナの第一声、「春爛漫のさくらですねー」から始まったこの番組は
 映画演劇、文芸、学術、スポーツと幅広い分野からその第一人者を招き
 それぞれが思い入れのある場所で録画された、手の込んだインタビュー群。

 毎週ひとり、超有名人から市井の学者まで、
 活躍する分野の突っ込んだ話をじっくり聞きながら
「できるだけ平易な語り口で、その人の人生から滲み出る言葉を伝えよう」
 という、番組コンセプトで宣言したとおりの努力が成功しており
 土曜日の朝10時、子供たちと一緒に観るにも十分な
 良質、かつ敷居の低い番組だった。

 そして
 40分の番組中、ちょうど良いテンポで挿入される回想場面では、
 NHKが持つ映像資料を存分に活用し
「インタビューで発された言葉の重みを、実際の過去の映像で裏付けていく」
 という、ドキュメンタリーとしても良く出来た作りになっていた。

 例えば、
 芸能部門、初回『女優 吉永小百合さん』の回では
 デビュー作から最新作まで、華麗な映画映像のオンパレード。

 スポーツ部門、第19回『国際柔道連盟理事 山下 泰裕さん』の回では
 山下が柔道界の改革を強く志すきっかけとなった、
 シドニー五輪男子100キロ超級決勝戦での「世紀の誤審」シーン。
(本人の試合ではない。
 山下が全日本コーチとして試合に立会い、
 判定に関して審判団に抗議をしている様子が
 複数のカメラアングル、ノーカットで存在しているのである)

 登場人物の語る生き証人としての言葉

 映像資料の持つ生き証人としての力

 これほど融合して力を持った番組

 私は近年見たことが無いし、
 それを毎週継続したという点に、心から拍手を送りたい。

 NHKの映像資料の持つ力、今後これを「アーカイブ力」【あーかいぶりょく】と呼ばせてもらうが
 NHKだからこそ制作できる番組、まさに「真骨頂」と言えるだろう。

 それを1年で打ち切って、何を観ろというのか?

 マイナスの意見として
 入局30年、いまや重鎮の域に入りつつある三宅民夫アナの
 わざとらしく素人っぽい受け答えに違和感を訴える声があったのも事実である。
 しかし私は、今になって思い当たる。
 あの柔和な顔をした三宅アナは、一見平凡な聞き役に回るフリをして、その実

 言葉と映像の橋渡し役に徹する決意を胸に秘めていたのではないかと。

 この番組を作るにあたっては、
 事前取材と事後の編集という二重の負荷が相当重く
 週一回のペースで放映していくのは大変だったと思われる。
 実際に毎週見ていると、週ごとのクオリティーにバラツキがあった感は否めない。 

 それでも
 第14回『「カンヌ映画祭14歳の快挙」 俳優 柳楽優弥さん / 映画監督 是枝裕和さん』
(柳楽がカンヌ主演男優賞を獲って以降、初のテレビロングインタビュー)
 第23回『東北楽天ゼネラルマネージャー マーティ・キーナートさん』
(楽天球団が火曜日に新規参入を承認され、翌水曜日インタビュー、その週の土曜日に放送)
 など、
 ニュース性という点も網羅しており

来週、三宅アナはどこに出現するのか」という楽しみがあった。

 と思ったら、
 番組ページのアナウンサー紹介欄に、いつの間にか

 三宅アナの惜別の辞が500字超という異例の長文で載っている。

「担当者としては名残惜しいのですが・・・」
 三宅さん、私も名残惜しいよ。
 私はあなたとあなた達スタッフが

 ドキュメンタリーの新しい地平を切り拓いたことをここに銘記する

 1年間ありがとう。
 そして今週土曜日の朝、我が家では何を観るのか、まだ決まっていない。

posted by nhktoday at 04:07| Comment(26) | TrackBack(15) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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